親知らずについて
親知らずとは
親知らずとは、一般的に第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)と呼ばれる歯のことです。これは、最も奥に生えてくる永久歯です。
親知らずの特徴
- 1. 生える時期が遅い
他の永久歯が生えそろった後に出てくるため、「親が知らないうちに生えてくる」という意味で「親知らず」と呼ばれます。
- 2. 生え方がさまざま
・まっすぐ正常に生える人もいますが、横向きや斜めに生えることが多いです。
・顎のスペースが足りないと、埋まったまま(埋伏歯)になることもあります。
- 3. 抜歯が必要なことが多い
・親知らずが斜めや横向きに生えると、歯と歯のすき間に汚れがたまり炎症を引き起こすことがあります。
・清掃しにくいため、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
・痛みや腫れを引き起こす場合、歯医者で抜歯することが一般的です。
親知らずを抜くべきケース
親知らずの⽣え⽅による抜⻭した⽅が良いケースについて詳しくご説明します。症状によってはなるべく早い処置が必要なケースもありますので参考にしてください。
- ・歯と歯のすき間に汚れがたまっている
- ・歯肉が腫れている⻭⾁が腫れている
- ・虫歯になっている虫歯になっている
親知らずは何歳くらいで生えてくる?
個人差はありますが、大体20歳前後で生えてきます。
18歳〜30歳くらいで抜歯する人が多いです。
親知らずは永久歯(大人の歯)の中で最後に発育し、永久歯は通常15歳前後で生え揃いますが、親知らずは生える時期が概ね10代後半から20代前半であり、親に知られることなく生えてくる歯であることがその名前の由来だとも言われています。
生えてくるときの痛みは?
多くの場合は痛みを伴わない、もしくは軽度の痛みです。
まれに生えてくる過程で覆っている歯肉を圧迫して痛みが出る、生えてくる際に歯茎が盛り上がり反対側の歯でその部分を咬んでしまい痛みが出る、ということもあります。
親知らずと歯並び
親知らずと歯並びの関係性について
親知らずがお口の中へ及ぼす悪影響の1つとして、「歯並びへの影響」が挙げられます。
これには親知らずの生え方が関係しています。
近年、日本人の顎は小さくなっていく傾向にあり、それに伴って歯が生えるスペースは狭くなっていっています。
生えるスペースが足りないことによって親知らずはまっすぐに生えることができず、横向きに生えて手前の歯を押してしまい、結果、歯並びは崩れていきます。
矯正の際の親知らず抜歯の意味
親知らずが生えてくると、歯並びに影響を与えることがあります。ただし、必ずしも歯並びが悪くなるわけではなく、親知らずの生え方や顎のスペースの有無によって変わります。
親知らずの痛みの原因について
痛みの原因は?
親知らずの痛みには、以下の3つの原因が挙げられます。
- ・親知らずの歯が虫歯になり痛くなる
(歯髄炎)
- ・親知らず周囲の歯肉に汚れがたまり、
炎症が起こり痛くなる(智歯周囲炎)
- ・親知らずが反対側の歯肉を噛んでしまい、
歯肉が傷つき痛くなる
親知らずによる症状
どのような症状がある?
- ・歯ぐきの腫れ
- ・歯ぐきの痛み
- ・隣りの歯が虫歯になってしまう
- ・口を開けると痛い
- ・噛むと痛い
- ・歯並びが悪くなる
親知らずを抜歯する際の医院の選び方
患者さんが歯科医院を選択する基準について
親知らずは、形や位置や向きなどが多様です。親知らずの近くに神経の管や血管があることもあり、状態を正確に把握する必要があります。よって抜歯の前には必要に応じてCT撮影を行い、三次元的に位置を確認してから抜歯をすることが望まれます。CTの装置があるクリニックを選ぶことをおすすめします。
抜歯の難易度について
まっすぐに生えている場合
抜歯の難易度 |
易 |
抜歯にかかる時間 |
30分〜60分 |
抜歯の費用 |
初診の費用を含めて約5,000円〜6,000円 ※別途CT撮影代約3,500円かかる場合があります。 |
横向きに生えている場合
抜歯の難易度 |
中〜難 |
抜歯にかかる時間 |
60分〜90分 |
抜歯の費用 |
初診の費用を含めて約7,000円 ※別途CT撮影代約3,500円かかる場合があります。 |
埋まっている場合
抜歯の難易度 |
難 |
抜歯にかかる時間 |
60分〜90分 |
抜歯の費用 |
初診の費用を含めて約7,000円 ※別途CT撮影代約3,500円かかる場合があります。 |
抜歯の費用
費用相場(3割負担)
- ・初診検査費用:3,000円程度
- ・治療にかかる費用:1,200〜5,000円程度
※別途CT撮影代約3,500円かかる場合があります。
親知らずといってもどのような形で生えているのかによって抜歯にかかる費用が変わります。
抜歯しなくて良い場合
必ずしも抜歯しなくて良い場合はどんなケース?
抜かなくてもよい親知らずは、以下のようなケースです。
- ・周囲の歯や歯茎に影響を及ぼしていない
親知らずが、正常にまっすぐ生えており、周囲の歯や歯茎に影響を及ぼしていない場合には、抜く必要はありません。虫歯のリスクが低く、清掃も行き届いていれば、そのままでも問題ないでしょう。
また、噛み合う歯も生えていて、噛む機能に問題がないのであれば、抜く必要はありません。
- ・完全に埋まっている
親知らずが完全に顎の骨の中に埋まっていて、周囲の歯に影響を及ぼしていない場合も、抜かずに残すことが多いです。
埋まっている親知らずを抜歯する場合、歯肉を切開したり顎の骨を大きく削ったりする必要があるため、患者様の負担が大きくなる割に、トラブルに発展するケースが少ないためです。
親知らずを抜歯する際の流れ
- 1. 初診検査
- 2. カウンセリング
- 3. 親知らず抜歯
- 4. 縫合した場合は抜糸
- 5. メインテナンス
親知らずを抜歯する際によくあるご質問
Q. どんな時、親知らずが痛くなるのか?
智歯周囲炎(ちししゅういえん)
- ・親知らずが中途半端に生えて、歯ぐきの一部が被っている状態
・歯と歯ぐきの隙間に汚れや細菌が溜まり、炎症を起こす
・腫れ・ズキズキする痛み・口が開けづらい症状が出る
・体調が悪い時(寝不足、疲労時、風邪)に悪化しやすい
虫歯(むし歯)
- ・親知らずは奥にあるため、歯ブラシが届きにくく、虫歯になりやすい
・自覚症状が出た頃にはかなり進行していることも
・隣の歯(第2大臼歯)まで虫歯になることもある
歯ぐきや顎の腫れ・膿がたまる(感染症)
- ・智歯周囲炎が進行して、膿がたまる
・顎やリンパまで腫れて、発熱するケースも
・抗生剤が必要になる場合あり
Q. 親知らずはなぜきちんと生えないのか?
【理由①】現代人は「顎が小さくなった」から
- ・昔の人類(縄文時代や狩猟民族)は、固い物・繊維質の多い食べ物を食べていた
・顎が大きく、歯が並ぶスペースも十分あった
・現代人は柔らかい物中心の食生活になり、顎が小さくなった
・小さな顎に28本の歯でギリギリ → 親知らず(最後に生える)は生えるスペースが足りない
【理由②】親知らずは「最後に生える」から
- ・親知らずは、だいたい18〜30歳頃に生えてくる
・その時には他の歯がすでにキッチリ並んでしまっている
・スペースがないから、横向き・斜め・埋まったままになるケースが多い
Q. 親知らずがまた生えることがあるの?
レントゲンで歯の状態を確認して抜歯した場合は再び親知らずが生えてくることはありません。患者様によっては過剰歯があり歯の本数が多い可能性もあります。
Q. 抜かないで治す方法はありますか?
患者さまによっては「どうしても親知らずを残したい」と抜歯を希望されない方もいらっしゃるかと思います。当院では、そうしたご希望にも最大限お応えできるよう親身にご相談に乗っております。
現在の親知らずの状態や、残した場合の将来的に考えられるリスクなどを丁寧にご説明の上、どのような治療方針が安心できるか一緒に考え、患者さまにとって本当に納得できる治療法をご提供いたします。
Q. 親知らずの抜歯前の注意は?
- 1. 抜歯処置をおこなう前日はしっかりと睡眠をとってください。
- 2. 栄養バランスの良い食事をしっかりとって体調を整えてください。
- 3. 服用しているお薬などがあれば必ず歯科医師までお伝えください。患者様が服用している薬を事前に把握することでより安全な処置をおこなうことができます。
Q. 親知らずの抜歯後の注意は?
- 1. 当日~翌日までは強いうがいはお控えください。強くうがいをすると抜歯窩にできた血のかさぶた(血餅)が取れてしまい、傷の治りが遅くなります。口に水を含んで吐き出す程度の優しいうがいを心がけてください。
- 2. 処方したお薬(痛み止めや抗生剤)は、歯科医師の指示通りに時間や容量を守ってしっかり飲んでください。
- 3. 抜歯箇所が熱を持ち冷やしたい場合は、水で濡らしたタオル等を患部付近の頬に当ててください(キンキンに冷えた氷などは避けてください)。
- 4. 抜歯当日は飲酒・喫煙・激しい運動・湯舟への入浴は避けてください(※入浴はシャワー程度にしてください)。
Q. 麻酔の持続時間・効果は?
持続時間には個人差がございます。大体の方は2〜3時間ほどで麻酔が切れます。アドレナリンが含まれていますので、麻酔が効いてくるとドキドキとした症状が出ることがございます。
ご気分が悪くなることもありますので、そういった場合は休憩をとっていただいたり、施術を中断いたします。我慢なさらずお声かけください。
Q. 通常どの程度腫れますか?
親知らずの抜歯後の腫れは個人差が大きく、術前に腫れの予測をすることはできません。
通常、上の親知らずの抜歯の場合はほとんど腫れることはありません。しかし、下の親知らずの場合はぱっと見てあごの左右差がわかるほど腫れることが多いです。腫れに伴い、お口が開けづらかったり、噛む動作を行いにくく普段どおりお食事をすることは難しくなります。この腫れは身体の正常な反応なのでご安心ください。
Q. 腫れる期間はどのくらいですか?
下の親知らずの抜歯では、通常術後1週間腫れと痛みを伴います。
2〜3日後に腫れと痛みのピークを迎え、その後は徐々に落ち着いてきます。真っ直ぐに生えている上の親知らずの抜歯ではほとんど腫れることはありません。
Q. 親知らずの抜歯は大体どのくらいの時間で
可能ですか?
簡単な場合:30分
難しい場合:60分〜90分
Q. 親知らずの抜歯はいくらかかりますか?
費用相場(3割負担)
- ・初診検査費用:3,000円程度
- ・治療にかかる費用:1,200〜5,000円程度
※別途CT撮影代約3,500円かかる場合があります。
親知らずといってもどのような形で生えているのかによって抜歯にかかる費用が変わります。
Q. 抜けなくて途中で中止されることはあるの?
患者さんの安全を考慮して抜歯を中止することがございます。
- 1. 抜歯部位の炎症が強く麻酔が効かない場合炎症が強い部位は、麻酔が効かない場合が多いです。麻酔が効かず、痛みが強すぎる場合は抜歯を中止します。通常炎症を抑えてから抜歯をおすすめしています。
- 2. 患者さんの体調が悪くなった場合抜歯をするにあたって過度に緊張していたり、麻酔薬の影響で気分が優れなくなる場合がございます。抜歯中に少しでも異変を感じたり気分が悪くなりましたら我慢せずにお伝え下さい。
- 3. 親知らずの根の先が折れた場合親知らずの根の先が折れてしまい当日に折れた先を除去する際に神経や血管を傷つける危険性がある場合に中止をすることがあります。
Q. 親知らずが虫歯になると抜歯は難しいですか?
親知らずの虫歯が進行してしまい、歯冠(歯の頭の部分)が大きく失われている場合抜歯の難易度が上がり、処置時間が長くなる場合がございます。
親知らずがまっすぐきれいに生えている場合を除き、虫歯になる前に予防的に抜歯をすることをおすすめしています。
Q. 親知らずを抜くと小顔になる?
親知らずがなくなったことによって、骨や筋肉が痩せ、小顔に見える可能性がないとは言えませんが、美容整形のような顔の印象の変化はないと考えていたほうがいいでしょう。個人差はありますが、親知らずを抜いたことで小顔に見えるという効果は、あったとしてもごく軽微だと思われます。